産後のお母さんの多くが悩まされる「肩こり」。特に赤ちゃんの抱っこが増えることで、肩や首の痛みに苦しんでいる方は非常に多いのではないでしょうか。
「抱っこしている時が一番辛い」「寝かしつけの時間が苦痛」「家事をする時も肩が痛む」
このような症状でお悩みの方に向けて、今回は産後の肩こりの根本的な原因と、その改善方法について詳しく解説していきます。
産後の肩こりの本当の原因とは?
1. 抱っこによる腕の疲労が肩こりを引き起こす
多くの方が肩こりの原因を「肩の筋肉の疲れ」だと思われがちですが、実は腕の疲労が大きな要因となっています。
6kgを超える赤ちゃんを一日中抱っこしていると、腕の筋肉が疲労し、それが肩の負担となって肩こりを引き起こします。正常な状態では、腕は耳にくっつくまで上がるのが理想的ですが、腕の疲労により可動域が制限されてしまうのです。
2. 骨盤のバランスが肩こりの根本原因
さらに重要なのが骨盤のバランスです。骨盤で上半身をしっかり支えられていない状態だと、肩の筋肉で体を支えようとして過度な力が入ってしまいます。
簡単なチェック方法として、片手を真っ直ぐ伸ばして体を横に倒してみてください。すぐに倒れてしまう場合は、骨盤で上半身を支えられていない証拠です。
3. 前かがみ姿勢による筋肉の緊張
授乳や抱っこの際の前かがみ姿勢も肩こりの大きな原因となります。頭が前に出ることで、僧帽筋(首から肩にかけての筋肉)が頭を後ろに引っ張ろうと過度に働き、筋肉が硬くなってしまいます。
肩こりに関連する重要な筋肉と症状
僧帽筋の硬化
- 原因: 前かがみ姿勢による頭部の前方移動
- 症状: 肩から首にかけての痛みとこり感
後配筋・大胸筋の緊張
- 原因: 抱っこ姿勢の継続
- 症状: 巻き肩の原因となり、肩こりを悪化させる
前鋸筋の硬化
- 原因: 呼吸の浅さと酸素不足
- 症状: 代謝の低下、痩せにくい体質の原因にも
肩甲骨周りの筋肉
- 重要性: 肩甲骨の裏には脂肪燃焼に関わる筋肉が存在
- 影響: 動きが悪いと代謝が上がらず、ダイエット効果も期待できない
中殿筋の過度な働き
- 原因: 骨盤の不安定性
- 症状: 太ももの外側が太くなる、下半身太りの原因
肩こり改善のための具体的なアプローチ
1. 腕の疲労回復
まずは腕の筋肉をしっかりとほぐし、可動域を改善することが重要です。腕の疲れが取れると、驚くほど手が上がりやすくなります。
2. 胸部のストレッチ
抱っこによって縮こまった胸の筋肉から腕の筋肉にかけて、適切なストレッチを行います。これにより巻き肩の改善と肩こりの軽減が期待できます。
3. 骨盤の調整
根本的な改善には骨盤のバランス調整が不可欠です。骨盤が正しい位置に戻ることで、肩の筋肉への負担が大幅に軽減されます。
4. 背骨の可動性改善
猫背になりがちな背骨の動きを改善し、正しい姿勢を維持できるようにします。
5. 体幹の筋膜リリース
横隔膜を含む体幹の筋膜をリリースすることで、呼吸が深くなり、全身の血流改善が期待できます。
改善効果と継続の重要性
適切な施術により、以下のような改善効果が期待できます:
- 可動域の回復: 腕が耳まで上がるようになる
- 骨盤の安定性向上: 体幹で体を支えられるようになる
- 血流改善: 肩周りの軽さと血液循環の改善
- 全身のバランス調整: 肩こり以外の症状の改善も
ただし、体には「元に戻ろうとする性質」があるため、一度の施術だけでは根本的な改善は難しいのが現実です。日常のホームケアと定期的な施術の継続により、改善された状態を定着させることが重要です。
産後のお母さんが抱える複合的な症状
肩こり以外にも、産後のお母さんは以下のような症状に悩まされることが多くあります:
- 腱鞘炎
- 腰痛
- 足のむくみ
- 体型の変化
- 代謝の低下
これらの症状は相互に関連し合っているため、総合的なアプローチが効果的です。
まとめ
産後の肩こりは単なる肩の筋肉の問題ではなく、腕の疲労、骨盤のバランス、姿勢の変化など複合的な要因が関わっています。根本的な改善のためには、これらの要因を総合的に改善していくことが重要です。
一人で悩まず、専門的なケアを受けることで、育児をより快適に過ごすことができるでしょう。お子様連れでも安心して施術を受けられる環境を整えている治療院も多くありますので、ぜひ一度相談してみることをおすすめします。
実際の施術の様子をより詳しく知りたい方は、こちらの動画をご覧ください。
この動画では、実際の患者さんの施術過程を通して、産後の肩こり改善の具体的な手法と効果を詳しく紹介しています。施術前後の可動域の変化や、患者さんの実感なども確認できますので、同じような症状でお悩みの方にとって非常に参考になる内容となっています。